ウェディング・ウォーズ~5月の花嫁大決戦~ · 第10章
上を目指して跳べ

スピーカー
NOAの皆様にお知らせします。タウンガードの許可を得てお伝えしています。
すべては誤解でした。団長を連れて行ったからといって結婚はできません。
団長は現在、BFBが保護しています…
エピンデル
…
カルメン
…
…少し浮かれていましたね。
これでは、これからシャルル様に「落ち着いてください」なんて言えませんね。
エピンデル
…そうですね。
カルメン
あの武器商人の言葉、間違っていなかったと思います。
私たち二人とも、結局は団長を守るために集まったんでしょう?
私たちより強くて、それに余計な誤解も招かない誰かが団長を守ってくれるのなら…
私たちとしては満足すべきなのではありませんか?
エピンデル
…確かに、そうかもしれませんね。
カルメン
…ところで、オルラン家の令嬢は…
どうして足首に添え木を当てていらっしゃるんです?
エピンデル
…
一回だけ。
一回だけ、跳べればいけます。
弱点は見ました。後頭部、装甲で覆われていない部分。
若鷹の狩りをもう一回だけ使えれば…
カルメン
教会へ行くおつもりですか?
今教会へ行くということは、あの人の言葉を証明することになるんですよ。
この幼稚な争いに、本気だったと。
エピンデル
…あなたの言う通り、ここから先へ進むなら、もはや言い逃れの余地はありませんね。
ですから、これは言うなれば、予行演習のような—
…
…いいえ、もうこんなふうに嘘をつくのはやめましょう。
…そうです。本気です。
この物語の最後に、団長の隣に他の誰かがいるのが嫌なんです。
最後に隣に立つのは私であってほしい。
カルメン
…そうですか。
エピンデル
今朝までの私なら、きっとここで納得して諦めていたでしょうね。
だから自分でも今の自分の選択が信じがたいのですが…
カルメン卿も意外ですね。
団長への護衛任務という名目を立ててでも、最後まで行くと思っていました。
なのに、むしろ自分から先にリタイアを口にするなんて。
カルメン
…そうですね。そんなことを言った以上、盾としては失格です。
…失格です。
エピンデル
…まあ、カルメン卿がこの争いから身を引いてくださるなら、私としてはありがたい限りですが。
でも少し、腹が立ちますね。
カルメン
腹が立つ…?どうして?
エピンデル
どうして、団長が外へ逃げるのではなく教会へ行こうとしたのかご存知でしょう?
誰かとの、何でもない約束を守るためでしたよ。
カルメン
…
エピンデル
ただ振り向いてほしくて、あの背中を必死に追いかけてる人もいるのに。
そんなふうに…あっさり引き下がるなんて。
やはり、少し腹が立ちますね。
カルメン
…
いつも損得ばかり気にして、気取ってるだけの方かと思っていましたが…
意地を張ることもあるんですね?
エピンデル
あら、カルメン卿。
私はずっと、意地を張って生きてきた人間ですよ。
弱い体も、拙い才能も、己より優れた兄弟姉妹も。
どうしようもないと諦めることも、屈することもなく、意地張って自分のものをつかみ取ってきました。
だから、今の私がいるんです。
ですから、意地を張るつもりがないのなら…
僭越ながら言わせていただきます。
あなたはここに残るべきです。
カルメン
…
エピンデル
私は先に行きます。
短い共闘、楽しかったです。

エピンデル
教会へ行くとおっしゃっていましたよね。
まだ…まだ晩鐘までは時間があります。
ですから、その前に教会へ着ければ…

エピンデル
教会へ向かう階段…
花嫁A
やあ、そこのお嬢さん。
そんなに急いでどこへ行くんだい?
エピンデル
…祭りに参加した花嫁たちですね。
興味深いですね。優勝候補を追うのではなく、私を邪魔するなんて。
花嫁A
あのロボット?あれを追いかけてどうするの、勝てっこないのに。
エピンデル
勝つつもりもない…ということですか。
なら、私の前を塞いでいる理由は何でしょう?
花嫁A
そりゃ、状況が変わったからだよ。
どうせ結婚は無理そうだし…だからって手ぶらで帰るのも癪だし…
そしたら、ある武器商人が教会の周りを守れば金をくれるって言うんだよ。
金額もいいし、別に損する話でもないから引き受けたのさ。
エピンデル
なるほど。話を遮って申し訳ありませんが、
優勝よりお金を取るという、いかにもな結末ですね?
花嫁A
ははっ、どうせ勝てないなら、何かしら持って帰らないとね。
だから大人しく引き返しなよ。
それとも私たちと一緒にここを守る?あの人、お金持ってそうだし、かなり払ってくれるみたいよ。
エピンデル
なるほど。
あなたたちには感謝すべきかもしれませんね。
花嫁A
なんでだよ?
エピンデル
意地を張っている今の自分は、少し見苦しいのではないかと思っていたのですが。
ウェディングドレスまで着ておいて、自分の都合で信念を曲げる敗者たちほどじゃありませんから。
花嫁A
`
エピンデル
お礼に先手は譲って差し上げます。
アンガルド。
花嫁A
ふらついてるくせに何イキってんだ…!
みんなでかかれ!
後ろだ!い、いや、上だ!
きゃっ!
花嫁B
いったいどこにいるのよ!?
エピンデル
あなたの後ろです。
花嫁B
なっ…ぐあっ!
花嫁たち
もう階段の中腹まで押し込まれてる!
ひ、退いて!退いて!
接近戦だと勝てない!
エピンデル
(はあ…はあ…これで何人目でしょう…?)
(…夕焼け。晩鐘まであとわずか。)
(足首の痛み…あまり嬉しくない感覚ですね。)
(…構いません。一回、教会でたった一回だけ跳べれば。)
(弱点に一太刀でも入れられれば…足が使えなくなっても…)
花嫁C
隙あり!
エピンデル
…!?死角から大砲が…!
花嫁C
撃て!!
エピンデル
きゃっ!
花嫁C
転がり落ちてる。6階…5階…4階…
3階…2階…1階。
…思ったより遠くまで行ったな?
花嫁D
体が軽いんじゃない?
花嫁C
追いかけてトドメ刺して来た方がいいかな?ちょっと面倒だけど…
花嫁D
放っておきなよ。どうせ終わりよ。
ここまで上がってくるには、5分以上はかかるわ。
その前に晩鐘が鳴るでしょ。

エピンデル
くっ…
…大丈夫。まだ、まだ時間はあります。
足首が…あっ…!
???
令嬢?
エピンデル
…
カルメン
晩鐘まであと何分でしょう?
エピンデル
3分…あるいは4分。
…やっと来ましたか。
その格好は…
カルメン
フフッ。
本気を賭けられない者に勝利をつかむ資格はない、というあの言葉。ちょっと胸に刺さりまして。
あれを聞いたとき、もう盾としては最後まで行けないと思ったんです。
団長さんの盾ではなく、カラーの花冠を望む一人の人間として参加するしかないって。
ここはウェディングドレスを着ていなければならない戦場ですから。違いますか?
エピンデル
…決心がついたのですね。
カルメン
はい、令嬢には残念でしょうけれど。
…あなたから燃え移った火ですし、文句は言わないでくださいね。
エピンデル
ふん。
足を引っ張らないでくださいね。

エピンデルとカルメンが追ってくると思うけど。
ロボットで対処できるか?
武器商人
ふふ、どうでしょう?
お金を払って雇った花嫁たちが、この教会を何重にも囲んでいますから。
単純計算で1秒に一人ずつ片付けたとしても、5分はかかります。
さて、晩鐘まではあと4分ほどですか。
物理的に、あの二人がここに来るのは無理です。
さあ…

花嫁たち
ううっ…
いたた…
エピンデル
これは…
…誰の作品ですか?
カルメン
倒れた花嫁たちでできた丘が三つ…
エピンデル
…ちょっと。丘の頂上を見てください。
カルメン
…風月堂の剣士。
エピンデル
それに爆弾魔の狐と…言霊使い。
フェイ
ああ、さっきの障害物か。
団長を奪われたようだが、取り返しに来たのか?
エピンデル
あなたたちも?
カルメン
…
さっき、あの巨大ロボットが流した放送は聞いたでしょ?
全部誤解で、デマだったんですよ。
今さら上っていっても、めちゃくちゃになった祭りの花冠以外、何も得られません。
ペトラ
うん。ペトラも聞いたよ。
あのでっかいロボットが通りながら、スピーカーをガンガン鳴らしてたから。
フェイ
…
誰も動かなかった。
フェイ
それでもみんなここに来たってことは。
別に引き下がるつもりはない、ってことだろう?
エピンデル
あら。誰かが花冠を受け取らなければならないでしょう?
ペトラ
ペトラも本気だよ!こんな戦いで引くつもりなんかないから!
絶対に負けるつもりないから!
ペトラ、本気でいくから!
キラ
…ぶつぶつ…ぶつぶつ…
カルメン
…始める前に。
降りたい人は…いないみたいですね。
それではオルランの令嬢。
言ってみましょうか?
エピンデル
ええ、喜んで。
カルメン&エピンデル
団長の花嫁は—
私です!
フェイ
ふむ、そういえばさっきとちょっと違うような気がするが…何だ?
カルメン
観察力もないタイプなんですね。
この服のことでしたら…ふふ。私も少し、自分の気持ちに素直になってみようかと思いまして。
フェイ
あ!今回は剣をちゃんと抜いたな!
カルメン
…
フェイ
なるほど、なるほど。今度は本気というわけか。面白い。
来い、ライバル!伴侶の座を懸けて決闘だ!
カルメン
意味は大体伝わっているので問題ないでしょう。
どれ、お手並み拝見と行きましょうか。
ペトラ
やっほー、つんつんお嬢様♪また会ったね!
エピンデル
先ほどは失礼しました。
ペトラ
ペトラの相手にはならなかったね♪
エピンデル
…すぅっ。ふぅ。
そうかにゃ?エピンデルだって可愛いんだもん。
ペトラ
…?
エピンデル
エピンデルは可愛いふりをしてるんじゃなくて、可愛いだけだもん。
ペトラ
…
エピンデル
いかがですか?これが私の覚悟です。
ペトラ
これは…可愛いというより、壮絶っていうか…
なんか…頭突きで大理石を割る達人並みの意気込み…
…でも本気なんだね。うん。
よし!それじゃペトラも真面目に相手してあげるから!
エピンデル
ニャンガルド!…じゃなくて、アンガルド!
キラ
ぶつぶつ…ぶつぶつ…
カルメン
あ、あの…?
エピンデル
大丈夫…ですか?
キラ
ぶつぶつ…
…死ねばいいのに…
…ぶつぶつ…
…あ、でもあんまりやりすぎると…団長に嫌われちゃうし…
じゃあ…こう…いや、あれで…
カルメン
…
エピンデル
…
い、行きます!アンガルド!

フェイ
くっ…見事だった…!
キラ
どうして…どうしてぇ…
ペトラ
ペトラたちだって本気だったのに…
どうして…どうして負けたの…!?
カルメン
…ほんの少しの差でした。
エピンデル
それは…
カルメン&エピンデル
あなたたちはウェディングドレスを着ていないからです!
ペトラ&フェイ&キラ
!!!
ペトラ
そんな…
ペトラもウェディングドレス…着たかった…
エピンデル
…やっと終わりましたね。
カルメン
いえ、まだまだこれからです。
団長さんはあの重たい鉄扉の向こうにいらっしゃいますから。
エピンデル
…その通りですね。
カルメン
さあ、それでは入りましょうか?
祭りの中枢へ。
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