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星の軌跡に染まりゆく、新年の夜! · 第4章

良き友人

店員

お疲れ様でした、お客様。

ドレスは完成次第、ご指定の住所にお送りいたします。

アセラ

お願いします!

エピンデル

…運が良かったですね、ストラニス嬢。

アセラ

そうね。偶然エピンデルに会えたのも、本当に良かったわ!

わたし、ファッションには疎いから…

色々と選ぶのも、何が何だか分からなかったのよね。

エピンデルのおかげで無事に選べたわ、ありがとう。

エピンデル

うっ…それは、ストラニス嬢がめったにドレスを着ないため…

少し助言をしただけです。

私のアドバイスがなければ、また地味で野暮ったい服を選んでいたでしょうから。

私が担当する行事に、そのような装いで参加されるのは阻止したかっただけです。

ふぅ…ストラニス嬢。毎度申し上げますが貴族なら貴族らしい装いをされることです。

貴族らしい装いか…

私はエピンデルとアセラの服を見比べ、深く考え込んだ。

アセラ

そう…?とにかく、助けてくれたことには変わりないんだから!ありがとう、エピンデル!

エピンデル

はぁ…どうぞお好きに考えてください。

アセラ

ところでエピンデル…ついでに言うんだけど…

エピンデル

どうされましたか?まだ言いたいことでも?

アセラ

これから、すごく忙しくなるの?

エピンデル

…どうしてそのようなことをお聞きになるのですか?

アセラ

少し…手伝ってくれないかしら…?

エピンデル

手伝い、ですか?

アセラ

うん、色々と…

エピンデル

色々と…?

エピンデル

…この寄せ集めがパーティーで失礼を犯さぬようパーティーのマナーを少し教えてほしい、ということですね。

アセラ

よ、寄せ集めだなんて言わないでよ!

あなた:

エピンデル、これって飲んでいい水?

花びらみたいなのが浮かんでるけど。

エピンデル

…飲んではいけません、団長。

ルナ

エヘヘッ。これ、マジでおいしすぎじゃない?

エピンデル

…口に食べ物を入れたまま話さないこと。

スマイル

辛さが足りない。特製唐辛子粉を追加。

エピンデル

唐辛子粉まみれにして食べないでください!

…はぁ、困りましたね。

生まれながらの庶民は仕方ありませんが…

アセラ

えーっと…こっちじゃなくて、反対側のナイフで切るんだったっけ?

肉が硬いわね…少しだけ力を入れて…

わっ!あはは…お皿が割れちゃった…

エピンデル

もう、アセラはなんでなの!?い、いえ!

ストラニス嬢まで、一体どういうことですかっ!

…背筋はまっすぐ!肘はつけず、かと言って上げすぎず!お皿に触れないように!

そもそも、これはステーキ用のナイフではないでしょう!

基本的なことすら知らないのですかっ!

アセラ

えへへ…こ、こんな風に食事するのは久しぶりだからかしら…?

エピンデル

久しぶりだからといって基本を忘れる訳ないでしょう!?きっと、以前もまともに習っていなかったはずです!

アセラ

…鋭いわね。

エピンデル

…ふぅ、いけませんね。このままではパーティーが台無しになるのが目に見えています。

一族の皆が注目する行事だというのに、このまま放ってはおけません。

私が一つずつ教えて差し上げますから、すべて頭に叩き込んでください!

エピンデル

それに加えて…

…ダンスまで教えてほしいというお願いだとは思いませんでしたが。

アセラ

ご、ごめん…

だけど!わたしの周りに、エピンデルほどダンスが上手い人はいないんだもの!

エピンデル

フフン!そ、それは当然でしょう。オルラン家の当主を夢見る者ならどのような分野においても頂点を極めるべきなのですから…!

アセラ

うんうん。何においても、最高の人から学ぶのが一番だしね!

エピンデル

…そ、それは否定できない事実ですね。ふむふむ、良いでしょう。

ストラニス嬢は初心者ですから、簡単な動作から始めましょう。

さぁ、音楽に合わせて。ワン、ツー…

こうして…エピンデルの指導のもと、ダンストレーニングが始まったのだった。

そして…

アセラ

ふぅ…す、少しは上達したかしら…

どうだった…?

ルナ

おわー…

スマイル

…キレッキレ。

あなた:

…よく分からないけど──

すごく強そうな技だったよ。

アセラ

な、何よ、その感想は—!

エピンデル

剣術はあれほどの腕だというのに、ダンスはどうして…まったく理解しがたいですね…

何にしても、体の使い方は上手だと思っておりましたのに。

アセラ

とりあえず動作は全部真似したでしょう?どこが間違ってたのか教えてもらってもいいかしら?

エピンデル

…全部です。全部めちゃくちゃです…!

アセラ

そうかな…?自分なりに…動きが乱れないよう最小限の動線を意識してみたんだけど。

6番目の回転動作は、こうした方が効率的だと思って。

エピンデル

まさに、そこが問題なのですよ…!?

ダンスに効率を求めるなんて…剣術のトレーニングではないのですから。

それに、リズムを無視して動くとは!音楽を流す意味があるのですか…!?

アセラ

む、無視した訳じゃないんだけど…

エピンデル

何よりも!優雅さが!完全に欠けているでしょう!

手を繋いで踊っているのではなく──相手の手をへし折ろうとしているようにしか見えませんってば!

アセラ

うぅぅ…難しいわね…

エピンデル

ふぅ…いけません。このままでは賞をもらうどころではありませんよ。パーティーを台無しにしなければ幸いなレベルです。

それに、ストラニス嬢だけではありませんよ。ダンスは二人で踊るものですから。

団長は、ダンスの経験がおありですか?

あなた:

…ないと思う。

エピンデル

初心者のお二人が狙えるほど、舞踏会の賞品は甘くないと思いますが…

…はぁ。ですが、お手伝いして差し上げると決めた以上最善を尽くさなければなりませんね。

団長、一度私と踊ってみましょうか。

優しくパートナーをエスコートしながら、流れに乗る感覚で…私に合わせていただけますか?

さあ、腰に手を軽く添えて…

あなた:

こんな感じ?

エピンデル

良いでしょう。そのまま音楽と私の動きに合わせて、ステップを踏んでください。

舞踏会で踊るようなカップルダンスは初めてだったがエピンデルが上手くリードしてくれたおかげか、思ったよりスムーズに踊れた。

私とエピンデルがこんな風にダンスをしたことなど…あるはずがないのに。

心配とは裏腹に、迷わずにステップを踏み続けることができた。

エピンデルも少し驚いているようだった。

エピンデル

…本当に初めてなのですか?団長に関しては、無用な心配でしたね。

何だか、慣れているような感じがしましたが。

…ううん、ただのデジャブ?

アセラ

うっ、うぅ…

エピンデル

…

ストラニス嬢、こうするのはいかがですか?

団長が私とパートナーを組んで、舞踏会に出るのです。

アセラ

えっ…?団長が…エピンデルとパートナーになるってこと?

エピンデル

はい。常識的に考えて、こちらの方が確率が高いのではないでしょうか?

新年祭は目前だというのに、ストラニス嬢のダンスは…正直に申し上げて基準以下です。

いかがですか?団長を私に貸してくださればストラニス嬢に賞品をお貸しするという条件で──

アセラ

そ、それはダメよ。

エピンデル

…ふむ、ダメなのですか?

アセラ

分かったわ、分かったわよ!わたしのダンスがひどいってことでしょう?

それなら、できるようになるまで練習すればいいだけよ。

エピンデル

ふぅん…そうでしょうか。どれほど一生懸命練習したとしても、短期間でどれだけ変わるかは疑問ですが。

アセラ

…見てなさいよ。見違えるほどに、練習してやるんだから。

わたしにもできるってこと、証明してみせるわ!

エピンデル

…

ルナ

…アセラっち、拗ねちゃったんじゃない?

あなた:

追いかけた方がいいかな?

エピンデル

いえ、あまりお気になさらないでください。

ストラニス嬢は、何というか…負けず嫌いですから。

あのように火が付いた状態になれば、誰よりも一生懸命に練習するでしょう。

…昔からそうでしたから。

そういえば、アセラとエピンデルは幼い頃からの友達だと言っていた。

あなた:

エピンデルは、アセラのことをよく知ってるんだな。

「アセラの競争心を強く刺激する。」

短期間で成果を出させるためにはこの方法が最も効果的だということを知っているようだった。

ルナ

ほぉ~、やっぱお友達は違うね?

スマイル

グッドフレンド。

エピンデル

と、友達というよりもっ…!い、一族同士の交流が頻繁だった間柄だと…言っておきましょう!

あなた:

助けてくれてありがとう。

エピンデル

…申し上げた通り、今回のパーティーはオルランの名にかけて完璧に進行させます。

そういった理由でお手伝いしているだけですから、お気になさらず。

…ですから、ここにいるお三方も!

本日お伝えしたマナーを、決して忘れてはなりませんよっ!分かりましたね!

あなた:

はっ、はいぃ!

エピンデルの言葉通り、アセラはその日から過酷なダンストレーニングを始めた。

練習する姿を私たちに見せることはなかったが、旅のトレーニングを除いたほぼ全ての時間をダンスに費やしているようだった。

アセラ

あっ…!?

もう、どうして最後のステップだけ失敗しちゃうのかしら?

もう一度だけ…!

エピンデル

力任せに回転しようとすると、すぐに足首を痛めてしまいますよ。

アセラ

…あっ、エピンデルね。

何よ、心配して来てくれたの?

エピンデル

わ、私がストラニス嬢を心配するなんて!そんなはずないでしょう…!

…心配なら、ストラニス嬢のお仲間がされていますよ。

良い仲間ができたのですね。

アセラ

うーん…そうかな?あはは!

エピンデル

ストラニス嬢はいつもそう…私が持っていないものをお持ちでしょう。

剣術も、愛される性格も、温かい家族も、立派な仲間も。

アセラ

えっ?なんて言ったの?

エピンデル

何でもありませんよ、ただのひとり言ですから。それより──

ストラニス嬢。一つお聞きしてもよろしいですか?

アセラ

うん?

エピンデル

どうしてそこまでされるのですか?

アセラ

ダンスの練習のこと?

エピンデル

かかとは擦りむけて赤くなっている上に、ここ数日は食事もまともにしていないでしょう?

アセラ

あはは…ずっと見てたのね?

エピンデル

…ずっとではなく、時々!見に来ていただけですっ!

幼い頃、共にダンスのレッスンを受けたことを覚えていますか?

あの日もいつものように、ストラニス嬢はつまらないと言ってこっそり森へ遊びに行ったでしょう。

アセラ

うん、覚えてるわ。あの時、行きたくないって言うエピンデルを無理やり連れて行ったのよね?

最初はあんなに帰りたがっていたのに、結局楽しく遊んだじゃない。

エピンデル

そ、それはっ…!うぅ…私が言いたいのは、そういうことではなく…!

貴族なら知っておくべき教養にウンザリしていたストラニス嬢がどうしてこんなに熱中しているのかということです。

アセラ

それはもう言ったでしょう?星の救援者の遺物を手に入れるために…

エピンデル

はぁ、本当に困りましたね。

何度も同じ話をするつもりはありませんが…やはり理解に苦しみます。

ストラニス嬢が貴族としての自覚がなく、一族のことに無関心なのは分かっていますが…

自らの将来を考えるべき時期になっても、幼い頃に好きだった絵本の話にまだ夢中とは。

アセラ

そ…そうかな?

…そういえばルナにも、世間知らずだって言われたわ。

エピンデル

全く同感で──

アセラ

だけど、少しは…違うと思う。

エピンデル

はい?

アセラ

エピンデルの言う通り…ただ遺物が欲しいって気持ちで練習を始めたのは事実よ。

でも練習しているうちに、少し違う考えが浮かんだの。

エピンデルも知ってるでしょう?わたしの夢。

エピンデル

星の救援者のような人になりたい…

…変わっていないでしょう?

アセラ

うん、その通りよ。

その夢を叶えるために、どうすればいいのかはまだ分からないの。

だけど、望むものが何であれ、星の救援者みたいに努力してみるのも夢に近づく一つの方法なんじゃないかって──そう思ったの。

わたしはダンスが苦手だし、貴族の行事は本当に退屈で嫌い。

でも星の救援者なら、苦手な分野だからって逃げたり目を背けたりするよりも──

まずは最善を尽くして、できるところまで全力でぶつかっていたと思うの。

わたしの知る星の救援者なら、きっとそうしたと思うから。

あはは、やっぱり馬鹿みたいって思われちゃったかな?

エピンデル

…

ふむ、そうでしょうか?

単に団長のパートナーとして…舞踏会に立つことを期待して努力している訳ではないのですね?

アセラ

…!?わ、わたしが?

エピンデル

あら、違いましたか?では、パートナーが誰であろうと舞踏会優勝を狙うということですね?

それでは、私が団長のパートナーになっても問題ないのでしょう?

団長は、動きが悪くありませんから。

ストラニス嬢には、私が適切なパートナーをご紹介しましょう。

ストラニス家との縁を作りたいご子息は、列ができるほどたくさん──

アセラ

…!

やめてよ…!!!

エピンデル

あら、怖いですこと。

…安心してくださいよ、冗談ですから。

先ほどアセラが言ったことは、あまりにも現実離れしていましたから。私をからかっているのかと思いましたよ?

そのため、私も軽く冗談を言ってみただけです。

アセラ

うぅ…エピンデルは本当に意地悪ね!

あっ、そうそう。ちょうどいいタイミングで来てくれたわ。

なんとか真似できるようにはなってきたと思うんだけど、一度見てくれないかしら?

一人だと、ちゃんとできてるのか──

エピンデル

足。

アセラ

うん?

エピンデル

足の運びがぎこちないですね。

もう少し広げてゆったりと。今は力が入り過ぎています。

アセラ

あっ、うん!

エピンデル

先ほど、馬鹿みたいかとお聞きになられたでしょう?

ええ。私の目には、大変愚かな行動にしか見えません。

ストラニス嬢の夢も、生き方も。世間知らずだとしか思えません。

由緒あるストラニス家の後継者として、義務を投げ出すなんて…とんでもないことですから。

私は自信を持って言えます。ストラニス嬢が歩もうとしているその道は、ストラニス嬢に与えられた道ではないのです。

しかし…

いずれにせよ、ストラニス嬢が私の親友だという事実は変わらないのですから。

ですから、見物くらいは最後までできるように手伝って差し上げるのです。

アセラ

…あはは、ありがとう!エピンデルが友達でよかったわ!

エピンデル

うっ…!無駄にくっつかないでくださいっ!はやく練習した動きを見せるのです!

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