燃えるロウソクと兎の歓迎会 · 第9章
一触即発

アンナ
えーっと…みなさんが店の前で騒ぎを起こした理由を教えてくださいますか?
アセラ
この店は…えーっと…つまり…
ルナ
この店は!しちゃいけないことをしてたの!
スマイル
タブーと禁忌。クロス・ザ・ライン。
アンナ
しちゃいけないこと、ですか?
ルナ
そうなんだってば!ねぇ、知ってる!?
この店の中には…
さらに奥へと続く、秘密の通路があるってことを!
アンナ
…!
知りませんでした…
まったく知りませんでした…!
ルナ
だよねぇ!
アンナ
でも、お店の中に秘密の通路を作るのは…
しちゃいけないことではないですよね?
ルナ
…あっ。
アセラ
そ…そうよね…?
アンナ
不法ではありませんから。
ルナ
だったら、これはどう!?
その秘密の通路は、なんと秘密のカジノに繋がってるの!
アンナ
…!!
ひ…秘密のカジノ!それはかなり…!
ルナ
かなりアレでしょ!?
アンナ
ドキドキワクワクしますねっ。
ルナ
えっ。
アンナ
NOAでは、カジノの運営も違法ではないんです。
もちろん、許可を受けていない私設カジノなら違法になりますが…
…どうですか?
ルナ
うーん…許可って…受けてるのかな?
アセラ
裏社会の大物が運営する秘密のカジノなのよ!
許可なんて取ってるわけないでしょう?
アンナ
うーん、カジノの名前を教えていただけますか?
アセラ
「ディープフィールド」よ…
アンナ
ディープフィールド、ディープフィールド…
あっ、ありました。
貴族や上流階級のための秘密をコンセプトにした、会員制クラブ付属のカジノ。
正式な許可を受けていますね。
アセラ
…
裏社会の大物が、どうして許可を取って運営してるのかしら?
スマイル
…非合理な詭弁が限界に到達。
いつにも増して疲労…
ルナ
ぐぬぬ…だ、だったらこれはどう!?
あの秘密通路の奥にあるカジノに…
アタシの友達が拉致されて、監禁されてるって言ったら!
アンナ
それは違法です!!
アンナはそう言うとすぐに、懐から手錠を取り出して天に向かって掲げた。
アンナ
増援!!
すると、どこからともなく現れたタウンガードがアンナの周りに集まった。
アンナ
包囲!!
アンナが指差すと同時に、タウンガードは店を包囲した。
店主
ち、ちくしょう!大人しくなったと思ったら…!
一人たりとも中に入れるな!
警備隊員
わ、分かりました!
アンナ
あーっ!公権力に挑戦するつもりですね!
半信半疑でしたが、これで確信しました。
タウンガード!
突入!!
警備隊員
こいつらを止めるぞ!
アセラ
かなりの…騒動になっちゃったわね…
ちょ、ちょっと!押さないでください!ま、まずは話し合ってから…!
ルナ
ここまで来たらもう遅いって!
むしろ、この隙にアタシたちが突入しちゃえばいいじゃん!
アセラ
中に入るってこと?
スマイル
潜入チームが中に入ってから、2時間が経過。
計画通りに進んだ場合の帰還予定時刻から、30分遅れている。
ルナ
何かまずいことが起こったのに、アタシたちに連絡できない状況なのかも。
タウンガードが来てる今こそ、チャンスだって!
アセラ
うーん…!
そうね、中に入って団長たちを探そう…!
ルナ
オッケー、さぁ行っくよー!

アセラ
あそこよ!ドアがあるわ!
ルナ
よーし、あそこから入ろ!
店主
ダ、ダメだ!くそっ!
本部!本部!!ゲートが突破されそうだ!
増援!もっと増援を送ってくれ!!
ルナ
まだ増援する気?
なら、アタシにいい考えがあるよ。
このドアの横で待ち伏せして、一人ずつやっちゃうの!
スマイル
賛成。合理的な戦術。
アセラ
…!階段を上ってくる足音よ…!
ルナ
来たなぁ~…!どいて、アセラ!
アセラ
ルナ、ちょっと待って…!
ルナ
えーい!食らえーっ!
…あっ。
ルナ
…あっ。
アセラ
だ…
団長…?
スマイル
…ルナのフルスイング、頭に直撃。
ただ…いま…
クレア
団長!?
ベル・リース
な、何なの?どういう状況?
ルナ
…
スマイル
…ルナ、凶器を背中に隠しても無駄。
ルナ
しーっ…!

スマイル
証人が必要なら連絡を。
束の間の騒ぎは収まり、状況が落ち着き始めた。
拉致された人物が無事に歩いて出てきたため、ディープフィールド側の警備隊員とタウンガードは互いに引き下がることで合意した。
その場に留まれば、騒ぎを起こした責任を問われるかもしれないというルナの判断のもと…私たちはキャンドル・スクエアへと移動した。
リサ
皆さん、大丈夫ですか?
騒動があったと連絡を受けて、慌てて駆けつけたんですよ。
アセラ
あはは…ちょっとゴタゴタしちゃったけど…
でも…一件落着ってことでいいわよね?
リサ
うーん、皆さんが無事で何よりですが…
何があったのか、NOAに報告する必要はありそうですね。
それから、クレア様とスカーレット様は…
大丈夫…ですよね…?
クレア
…大丈夫です。
リサ
ですが、その服は…
クレア
…大丈夫です!
うまく解決できたと言っていいかは分かりませんが…
ベル様が無事に戻られましたから。一段落ついたのは確かです。
スカーレット
すべてお主のせいではないか!はやく頭を下げて謝るのだ!
ベル・リース
ご…
ごめん…
スカーレット
もっと大きな声で謝るのだ!
ベル・リース
…ごめん。
クレア
ベル様が謝罪の言葉を発するなんて…
本当に大きな問題を起こしたという自覚はあるようですね。
アセラ
大丈夫、大丈夫。何事もなくて良かったわ。
ルナ
うーん。結局は、誤解と勘違いだったってワケ?
なーんか、腑に落ちないような気もするけど…
ベル・リース
…
ルナ
まっ、いっか!
おかげで秘密のカジノの場所も分かったしね!
スマイル
会員制だということを忘れるべからず。
それに、今回の件で入口の位置を変える確率は、常識的に考えて97.5%と予想。
ルナ
スマイルちゃん!つまんないこと言わないでよぉ!
スマイル
んっ、んぐっ!
クレア
とにかく、皆さんが力を貸してくださったおかげです。
ボイジャー救援団、そして団長。
キャンドル・スクエアを代表して、感謝申し上げます。
こちらこそ、いつもお世話になってるしな。
お役に立てて嬉しいよ。
クレア
そう言ってくださって、ありがとうございます。
ところで、団長の歓迎会の件ですが…
いつ行うのがよろしいで──
ルナ
それ、今やっちゃダメなの?
クレア
はい?今ですか?
ルナ
うんうん、ちょうどみんな揃ってるしさ!
アセラ
あっ、そう言われてみればそうね。
…みんな?
スカーレット
ちょうどリサもいるのだ!
クレア
そうですか。ですが、ケーキの準備ができていませんが…
ケーキは大丈夫だよ。
食事の準備はどう?
クレア
食事は問題ありません。30分ほどで準備できます。
アセラ
さっきまではどうもなかったのに…
歓迎会の話を聞いたら、すごくお腹が空いてきたわ。
ルナ
アタシも!
スマイル
同感。
その時ふと、稲妻のようなアイデアが頭をよぎった。
みんなお腹が空いてるみたいだし…
今やろう。
クレア
承知しました。
団長の歓迎会ですから、団長の意向に従います。
では、私とスカーレットは着替えて…
う、ううっ、腹ペコだ!
少しでも早く食べたいっ!
ルナ
…
…うふふんっ☆
なるほどねぇ…分かったよ、団長!
よーし、このアタシが手伝ってあげよう!
アセラ
うん?な、何を?
ルナ
うえーん!お腹ペコペコだよ!
クレア~、できるだけ早くお願いしてもいい?うん?
クレア
き、着替えだけ済ませて…
ルナ
いいからいいから!さっ、アタシも手伝うよ!
調理室ってどこだったっけ?ここ?あそこ?
クレア
あ、あちらですが…ルナ様!お待ちください!一緒に行きましょう…!
着替える時間すら与えず、すぐにクレアとスカーレットを連れて行ったルナは…振り返って大きくうなずいた。
私もまた、ルナに向かって大きくうなずいた。
深い感謝を込めて。
ストーリーおよびイラスト © Studio B-Side。非公式の閲覧用アーカイブです — お問い合わせやご要望はサイトについてをご覧ください。
